GatherFriends〜MTG青春日記〜 第3幕ダイジェスト
2005年6月21日 小説「生徒会長は何を考えているんでしょうか。先輩。」
「さあね、俺にもわからん。《歯と爪》。」
「《最後の言葉》します。」
関内は《歯と爪》を墓地に置いた。
「じゃ、《トリスケリオン》を素出し。」
「……通ります。」
関内は結花にターンを譲った。結花がカードを1枚引いた。
「結局、最初の『町田速人』も、会長の思惑通りだったのでしょ?」
結花が《ミラディンの核》をタップした。無色マナを生み出したようだ。
「さらに大木も、会長から特命を受けていたらしい。ま、大木は生徒会の書記だからな。会長の息がかかっていても可笑しくは無い。」
関内の回答が、さらに結花の頭を混乱させた。
結花はさらに《金粉の水蓮》、《松の頂の峰》をタップさせマナを生み出した。
「今度、また誰か勝負を挑んでくるんでしょうか?」
結花は正直うんざりしていた。
「さあな。判らん。……つうかお前、さっきから質問ばかりだな。」
「……関内先輩も、さっきから『判らん』ばかりですね。《袖の下》です。」
関内はあからさまな渋い顔をした。
「マジか。」
「デッキ、見せてくださいね。」
今、『カードゲーム同好会』の部室の中にはカードが擦れる音しかしない。
この部屋には、結花と関内の二人だけだった。
「そういえば、香田はどうした?今日は部活にこないのか?」
関内が結花に質問するが、結花は答えられなかった。首をかしげるジェスチャーで『私もわからない』と返した。
「まあ、この部活自体、結構適当なところがありますから。」
「……酷いな。もう少しオブラートに……。」
「先輩。」
結花が関内を見た。
「先輩、今、手札に《キキジキ》、《メフィドロスの吸血鬼》、在りますね……?」
「……さあ、ね。」
関内は結花の目を見ずに回答した。
「さっきから、判らないばかりですね」
「お前は、質問ばかりだな。」
結花はしぶしぶ《ダークスティールの巨像》を場に出し、ターン終了した。
「さて、トップデッキ♪トップデッキ♪」
関内はカードを引くと同時にカードを公開した。
《歯と爪》だった。
「……なんか、卑怯くさいです。」
「でも、デッキを最後に切ったのは結花、お前だろ?」
《歯と爪》がプレイされ、《キキジキ》、《トリスケリオン》、《メフィドロスの吸血鬼》が場に揃った。
「さてコンボが決まるが。どうする?」
「もう少しやりましょう。」
関内が《キキジキ》で《吸血鬼》をコピー。《トリスケリオン》のカウンターを取り除き、《トリスケリオン》自身にダメージを与え、結果、+1/+1カウンターが計2つ乗る。
「これをそうだな……5万回繰り返して、と。」
「小学生ですかあなたは。」
結花の皮肉も聞いているのか判らないが、50000点ダメージを受けた、+1/+1カウンターが50003個乗っている《トリスケリオン》が誕生した。
「ターン終了。で、結花のアップキープに、全取り除き。結花に5万飛んで3点。しゅ〜りょ〜。」
「……《天空のもや》、ついでに《摩滅》連繋。対象は《トリスケリオン》」
「あ。」
「先輩、『全取り除き』って言いましたよね。スタックで《もや》です。」
静かな部室を、さらに沈黙が支配した。
「……まあ、いい。こっちには《キキジキ》が……。」
「私には今、《ダークスティールの巨像》が。」
さらに、さらに沈黙が支配した。
「ええと。待ったなし、か?」
「もちろん。」
関内が頭を抱えた。カジュアルだからといって、調子に乗りすぎていたようだ。
結花は黙々とターンを進めようとした。
ガラッ!
教室の引き戸が勢い良く開かれた。
そこには香田晶子が立っていた。
目は赤く充血し、涙をためている。
ただ事ではない。一体どうしたのだろう。結花は香田に何があったのか聞こうと、デュエルを中断し香田に向かっていこうとしたが、香田の一言が結花の行動を制した。
「……小金井結花!!」
香田が結花に右人差し指を突きつけた。
「……え?」
「私の意地……。女としての意地を掛けて、勝負よ!」
「…な、なによ!突然!どうしたのよ!」
香田の目に涙があふれてきた。涙が頬を伝い濡らしていた。
「私、負けないから!!」
香田がこんなに大きな声で叫んだここなど無かった。
初めて聞いた香田の叫びに、結花はただ呆然と突っ立っていることしかできなかった。
関内は内心、焦っていた。今回の出来事は、この部活の存亡に関わる重大なことだったからだ。
「あ、あのう、お二人とも。お静かに、ね。」
関内の額から変な汗が出てきた。関内の静かな、かつ、必死な説得は続いた。
「ね、隣さ、『職員室』なんだから、さ、ね、静かにしよう、ね?」
「さあね、俺にもわからん。《歯と爪》。」
「《最後の言葉》します。」
関内は《歯と爪》を墓地に置いた。
「じゃ、《トリスケリオン》を素出し。」
「……通ります。」
関内は結花にターンを譲った。結花がカードを1枚引いた。
「結局、最初の『町田速人』も、会長の思惑通りだったのでしょ?」
結花が《ミラディンの核》をタップした。無色マナを生み出したようだ。
「さらに大木も、会長から特命を受けていたらしい。ま、大木は生徒会の書記だからな。会長の息がかかっていても可笑しくは無い。」
関内の回答が、さらに結花の頭を混乱させた。
結花はさらに《金粉の水蓮》、《松の頂の峰》をタップさせマナを生み出した。
「今度、また誰か勝負を挑んでくるんでしょうか?」
結花は正直うんざりしていた。
「さあな。判らん。……つうかお前、さっきから質問ばかりだな。」
「……関内先輩も、さっきから『判らん』ばかりですね。《袖の下》です。」
関内はあからさまな渋い顔をした。
「マジか。」
「デッキ、見せてくださいね。」
今、『カードゲーム同好会』の部室の中にはカードが擦れる音しかしない。
この部屋には、結花と関内の二人だけだった。
「そういえば、香田はどうした?今日は部活にこないのか?」
関内が結花に質問するが、結花は答えられなかった。首をかしげるジェスチャーで『私もわからない』と返した。
「まあ、この部活自体、結構適当なところがありますから。」
「……酷いな。もう少しオブラートに……。」
「先輩。」
結花が関内を見た。
「先輩、今、手札に《キキジキ》、《メフィドロスの吸血鬼》、在りますね……?」
「……さあ、ね。」
関内は結花の目を見ずに回答した。
「さっきから、判らないばかりですね」
「お前は、質問ばかりだな。」
結花はしぶしぶ《ダークスティールの巨像》を場に出し、ターン終了した。
「さて、トップデッキ♪トップデッキ♪」
関内はカードを引くと同時にカードを公開した。
《歯と爪》だった。
「……なんか、卑怯くさいです。」
「でも、デッキを最後に切ったのは結花、お前だろ?」
《歯と爪》がプレイされ、《キキジキ》、《トリスケリオン》、《メフィドロスの吸血鬼》が場に揃った。
「さてコンボが決まるが。どうする?」
「もう少しやりましょう。」
関内が《キキジキ》で《吸血鬼》をコピー。《トリスケリオン》のカウンターを取り除き、《トリスケリオン》自身にダメージを与え、結果、+1/+1カウンターが計2つ乗る。
「これをそうだな……5万回繰り返して、と。」
「小学生ですかあなたは。」
結花の皮肉も聞いているのか判らないが、50000点ダメージを受けた、+1/+1カウンターが50003個乗っている《トリスケリオン》が誕生した。
「ターン終了。で、結花のアップキープに、全取り除き。結花に5万飛んで3点。しゅ〜りょ〜。」
「……《天空のもや》、ついでに《摩滅》連繋。対象は《トリスケリオン》」
「あ。」
「先輩、『全取り除き』って言いましたよね。スタックで《もや》です。」
静かな部室を、さらに沈黙が支配した。
「……まあ、いい。こっちには《キキジキ》が……。」
「私には今、《ダークスティールの巨像》が。」
さらに、さらに沈黙が支配した。
「ええと。待ったなし、か?」
「もちろん。」
関内が頭を抱えた。カジュアルだからといって、調子に乗りすぎていたようだ。
結花は黙々とターンを進めようとした。
ガラッ!
教室の引き戸が勢い良く開かれた。
そこには香田晶子が立っていた。
目は赤く充血し、涙をためている。
ただ事ではない。一体どうしたのだろう。結花は香田に何があったのか聞こうと、デュエルを中断し香田に向かっていこうとしたが、香田の一言が結花の行動を制した。
「……小金井結花!!」
香田が結花に右人差し指を突きつけた。
「……え?」
「私の意地……。女としての意地を掛けて、勝負よ!」
「…な、なによ!突然!どうしたのよ!」
香田の目に涙があふれてきた。涙が頬を伝い濡らしていた。
「私、負けないから!!」
香田がこんなに大きな声で叫んだここなど無かった。
初めて聞いた香田の叫びに、結花はただ呆然と突っ立っていることしかできなかった。
関内は内心、焦っていた。今回の出来事は、この部活の存亡に関わる重大なことだったからだ。
「あ、あのう、お二人とも。お静かに、ね。」
関内の額から変な汗が出てきた。関内の静かな、かつ、必死な説得は続いた。
「ね、隣さ、『職員室』なんだから、さ、ね、静かにしよう、ね?」
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