GatherFriends〜MTG青春日記〜第8幕〜
2005年8月30日 小説「ダメです。」
きっぱりと、そしてはっきりと香田晶子が否定した。
放課後の視聴覚室。職員室の隣に位置するこの教室に、いつものメンバー+αが集まっていた。
MTG同好会部長、『関内辰一郎』
とりあえず副部長、『香田晶子』
平部員、『小金井結花』 そして……。
「な〜晶子ちゃ〜ん。そんな冷たいこと言うなよな。」
元生徒会『町田速人』。
「あ、あんのう。私も、だめなんすか?」
独特の訛り言葉を発する『茅ヶ崎しのぶ』。
「……。部長が許しても、私が許せないんです!!」
職権乱用、とでも言うのだろうか。香田晶子の目の前に並べられた2枚の入部届けは、今にも散り散りに破かれてしまいそうであった。
コトン。
机に、冷えた麦茶の入ったコップが3つ、並べられた。小金井結花が気を利かせて注いで来たのだ。
「晶子、コレ飲んでちょっと落ち着きましょうね。」
「私は冷静よ!!」
コップを奪い取り、晶子は一気に麦茶を飲み干した。
「俺らは正規の手続きで入部するんだ。部長に許可はとってあるんだぜ。」
晶子が、関内を睨み付けた。さながら鬼の形相だ。
さらに追い討ちをかけたのが、茅ヶ崎の一言だった。
「なんで晶子さんは、私達の入部を認めてくれないん?」
「……私の、プライドの問題よ。」
「ああ、つまり、私達に『ぼろ負け』したことがトラウマになっている、と……」
「……!」
さらに町田。
「あ〜、そんなことを気にしてるのか晶子ちゃん。なら、俺と付き合え。手取り足取りMTGをレクチャーしてやるぜ!」
「……!!……!!」
返しで、茅ヶ崎しのぶ。
「あれは会長の命令で。会長が『香田晶子が一番弱い。彼女をボロボロにしてしまいな』って、いうもんだからつい、私も本気になってん……。」
「……ヲヲヲヲヲヲヲ…!」
晶子の異変(?)にいち早く気づいた小金井結花は、既に教室の外に避難していた。
次に察した関内は、彼女を止めようとした。
「! いかん香田! 隣は職員しt……」
「……ホヲヲヲ!!!」
香田晶子の中の《烏羅未の墳墓》が起動した。
「……落ち着いた? 晶子。」
ぐちゃぐちゃになった机を並べ直しながら、結花は晶子に聞いた。晶子は稀に『キレる』事があるのだ。
「……うん……。でも…。」
晶子は、顔を真っ赤にしてうつむいたままだ。顔が赤い理由は、怒りからか、それとも恥ずかしいからか。
町田と茅ヶ崎も、片づけを手伝っている。幸いに、壊れたものは無いようだ。
「晶子。町田君も、茅ヶ崎さんも、ギャザ大好きなんだよ。だから、生徒会やめてこっちに来たんでしょ。迎えてあげようよ。」
「……うん……。でも…。」
晶子は未だに、自分の中に煮え切らないものがあった。
彼女自身のプライドの高さが、昔から友人関係にヒビを入れてしまうことが多かった。実際、小金井結花に出会うまでは、まともな友人は居なかったかもしれない。
「……じゃあ、晶子。こうしましょうよ。」
結花の提案は極簡単で、そして一番晶子が納得いくであろう解決方法であった。
「デュエルで、決めるのはどう?」
第1戦
町田VS香田
結花「……。」
茅ヶ崎「……。」
町田「……あー、もし。晶子さん。」
晶子「はいなんでしょう。赤使いさん」
ここに居たデュエリスト全員が、晶子の行動に唖然とした。コレには町田も驚いた。
「あのな、《ヴェクの聖騎士》は判る。白単だし。」
「はい。」
「で、仮に、《物語の円》が出てきても、理解できるさ。」
「はい♪」
「でもな、サイド入れ替えとかナシでさ…。」
「はい♪」
「……《赤の防御円》は、ずるいよな。」
「戦略です♪ 勝てばいいんです♪」
やっぱり香田は、町田のことが嫌いらしい。
ルール上には問題が無いため(?)、デュエルは続けられた。
「赤単では、コップはどうにもならないでしょ♪ あきらめるのはどうでしょうか?」
香田は上機嫌だった。顔が終始ニヤケっぱなしだ。
「ああ。彼女、昔はもっと清楚なお嬢様だったのに。MTGが彼女の性格を変えてしまったのね。」
小金井結花は窓の外を見ていた。夕日がまぶしい。黄昏だ。
「残念。どうにもならないかもな。ドロー。」
町田はお手上げポーズをしていた。晶子の顔がさらににやける。苦節3ヶ月。やっと復讐が果せるのだ。
「「「……あ。」」」
町田のドローを見ていたギャラリー2人と、町田本人の声が揃った。
「……え?」
晶子だけ、町田の手札を見ることができない。が、直ぐにそのカードが場に出たため、『…あ。』の意味が理解できた。
「……《真髄の針》、引いちった。」by町田。
5分後。
香田晶子は視聴覚室隅で、体育座りの格好で落ち込んでいた。
ちなみに、町田の墓地には《爆片破》が2枚落ちていた。
「……おかしいっすね。」
茅ヶ崎しのぶが独白した。
「どうして?茅ヶ崎さん。」
「あ、いや……。《因果応報》は8版で落ちたのにな、って。」
「……ああ。なるほどね、おあとがよろしいようで……。」
関内は、担任に連れられてから、未だに帰ってきていない。
きっぱりと、そしてはっきりと香田晶子が否定した。
放課後の視聴覚室。職員室の隣に位置するこの教室に、いつものメンバー+αが集まっていた。
MTG同好会部長、『関内辰一郎』
とりあえず副部長、『香田晶子』
平部員、『小金井結花』 そして……。
「な〜晶子ちゃ〜ん。そんな冷たいこと言うなよな。」
元生徒会『町田速人』。
「あ、あんのう。私も、だめなんすか?」
独特の訛り言葉を発する『茅ヶ崎しのぶ』。
「……。部長が許しても、私が許せないんです!!」
職権乱用、とでも言うのだろうか。香田晶子の目の前に並べられた2枚の入部届けは、今にも散り散りに破かれてしまいそうであった。
コトン。
机に、冷えた麦茶の入ったコップが3つ、並べられた。小金井結花が気を利かせて注いで来たのだ。
「晶子、コレ飲んでちょっと落ち着きましょうね。」
「私は冷静よ!!」
コップを奪い取り、晶子は一気に麦茶を飲み干した。
「俺らは正規の手続きで入部するんだ。部長に許可はとってあるんだぜ。」
晶子が、関内を睨み付けた。さながら鬼の形相だ。
さらに追い討ちをかけたのが、茅ヶ崎の一言だった。
「なんで晶子さんは、私達の入部を認めてくれないん?」
「……私の、プライドの問題よ。」
「ああ、つまり、私達に『ぼろ負け』したことがトラウマになっている、と……」
「……!」
さらに町田。
「あ〜、そんなことを気にしてるのか晶子ちゃん。なら、俺と付き合え。手取り足取りMTGをレクチャーしてやるぜ!」
「……!!……!!」
返しで、茅ヶ崎しのぶ。
「あれは会長の命令で。会長が『香田晶子が一番弱い。彼女をボロボロにしてしまいな』って、いうもんだからつい、私も本気になってん……。」
「……ヲヲヲヲヲヲヲ…!」
晶子の異変(?)にいち早く気づいた小金井結花は、既に教室の外に避難していた。
次に察した関内は、彼女を止めようとした。
「! いかん香田! 隣は職員しt……」
「……ホヲヲヲ!!!」
香田晶子の中の《烏羅未の墳墓》が起動した。
「……落ち着いた? 晶子。」
ぐちゃぐちゃになった机を並べ直しながら、結花は晶子に聞いた。晶子は稀に『キレる』事があるのだ。
「……うん……。でも…。」
晶子は、顔を真っ赤にしてうつむいたままだ。顔が赤い理由は、怒りからか、それとも恥ずかしいからか。
町田と茅ヶ崎も、片づけを手伝っている。幸いに、壊れたものは無いようだ。
「晶子。町田君も、茅ヶ崎さんも、ギャザ大好きなんだよ。だから、生徒会やめてこっちに来たんでしょ。迎えてあげようよ。」
「……うん……。でも…。」
晶子は未だに、自分の中に煮え切らないものがあった。
彼女自身のプライドの高さが、昔から友人関係にヒビを入れてしまうことが多かった。実際、小金井結花に出会うまでは、まともな友人は居なかったかもしれない。
「……じゃあ、晶子。こうしましょうよ。」
結花の提案は極簡単で、そして一番晶子が納得いくであろう解決方法であった。
「デュエルで、決めるのはどう?」
第1戦
町田VS香田
結花「……。」
茅ヶ崎「……。」
町田「……あー、もし。晶子さん。」
晶子「はいなんでしょう。赤使いさん」
ここに居たデュエリスト全員が、晶子の行動に唖然とした。コレには町田も驚いた。
「あのな、《ヴェクの聖騎士》は判る。白単だし。」
「はい。」
「で、仮に、《物語の円》が出てきても、理解できるさ。」
「はい♪」
「でもな、サイド入れ替えとかナシでさ…。」
「はい♪」
「……《赤の防御円》は、ずるいよな。」
「戦略です♪ 勝てばいいんです♪」
やっぱり香田は、町田のことが嫌いらしい。
ルール上には問題が無いため(?)、デュエルは続けられた。
「赤単では、コップはどうにもならないでしょ♪ あきらめるのはどうでしょうか?」
香田は上機嫌だった。顔が終始ニヤケっぱなしだ。
「ああ。彼女、昔はもっと清楚なお嬢様だったのに。MTGが彼女の性格を変えてしまったのね。」
小金井結花は窓の外を見ていた。夕日がまぶしい。黄昏だ。
「残念。どうにもならないかもな。ドロー。」
町田はお手上げポーズをしていた。晶子の顔がさらににやける。苦節3ヶ月。やっと復讐が果せるのだ。
「「「……あ。」」」
町田のドローを見ていたギャラリー2人と、町田本人の声が揃った。
「……え?」
晶子だけ、町田の手札を見ることができない。が、直ぐにそのカードが場に出たため、『…あ。』の意味が理解できた。
「……《真髄の針》、引いちった。」by町田。
5分後。
香田晶子は視聴覚室隅で、体育座りの格好で落ち込んでいた。
ちなみに、町田の墓地には《爆片破》が2枚落ちていた。
「……おかしいっすね。」
茅ヶ崎しのぶが独白した。
「どうして?茅ヶ崎さん。」
「あ、いや……。《因果応報》は8版で落ちたのにな、って。」
「……ああ。なるほどね、おあとがよろしいようで……。」
関内は、担任に連れられてから、未だに帰ってきていない。
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